Stuck on Dating

愛着スタイル診断、受けるたび結果が変わるのはなぜ?

編集部 · 公開2026-06-17

夕方の窓際でソファに座り、診断結果を映したスマホを見つめる20代後半の女性。半分は頷き半分はためらう表情で、結果が一つのタイプに定まらない揺れを表す。

診断で「回避型です」と出て、半分は頷けるのに、半分は「そこまでじゃない」と引っかかる。受け直すと、今度は違うタイプが出る。つい、自分の答え方がいい加減だったのかなと疑いたくなります。でも、ずれているのはおそらく答え方ではなく、診断が返してくる「一つのタイプ」という形のほうです。結果が変わるのは、クイズの精度が低いからでも、あなたが特殊だからでもありません。

「あなたは回避型」がしっくりこない理由

愛着スタイルの診断クイズは、いまや本当にあちこちにあります。何問か答えると「あなたは回避型です」と、ひとつのタイプにすっきりまとめて返ってくる。あれを受けたあとの感じ方は、人によってずいぶん違うのではないでしょうか。すごく納得する人もいれば、なんだかしっくりこない人もいます。

試しに受けてみたら「回避型」と出た。読むと当たっている部分もあって、ああなるほどとは思う。でも、ちょっと引っかかる。たしかに距離を取りたくなる場面はあるけれど、相手や状況によって全然違う気もします。前の関係ではむしろ逆だったかもしれません。それでも一つのタイプとして言い切られると、自分はずっとこういう人間だ、と決めつけられた感じがします。ふだんは気にしないけれど、ふと考えると引っかかる。これって決まったタイプなのでしょうか、それとも今そう出ているだけなのでしょうか。

その引っかかりは、大事なところを突いています。「回避型」と出ると、生まれ持った性質みたいに聞こえます。でも実際に起きているのは、相手や状況で出方が変わるということで、それはもう「決まったタイプ」の話とはずれています。診断結果は、性格の正体というより、距離が近づく場面で今いちばん出やすい反応の偏り、くらいに見るのがちょうどいい。親しさが上がると、人はたいてい何かしらの守り方をします。その守り方の「今のクセ」が、たまたまそのクイズでは回避という形で出ただけです。前の関係で逆だったかもと感じるなら、それは矛盾ではなく、相手との間でクセの出方が変わったと見るとつじつまが合います。だから「自分はずっとこういう人間だ」と言い切られた感じがするなら、そう感じるのも無理はありません。当たっている部分は今の自分の傾向として受け取って、言い切られた部分は鵜呑みにしない。それくらいの距離で持っておくと、ちょうどいい。

誰の中にも守り方が複数ある。この見方は、社会認知という心理学の分野でも同じことが言われています。ほとんどの人は、安心できた関係・不安だった関係・距離を取った関係、それぞれの記憶や期待を複数持っていて、そのうちどれが今いちばん取り出しやすいかで、関係についての考え方や反応が変わる、と示唆されています (参考: 1)。だから「一人につき愛着スタイルは一つで固定」という前提のほうが、むしろ人の実際のありようには合わない面があります。クイズが拾うのは、その複数ある反応のうち、今いちばん出やすいものです。

受けるたびに結果が変わるのはなぜか

落ち着いているときと、ちょっと参っているときと。同じクイズでも、答えが変わりそうな気がしませんか。今ちょうど距離を取りたい時期だったから回避と出ただけで、別のタイミングならまた違う結果になっていたのではないか。いつ受けたかで、けっこう変わるものなのか。そう気になったことのある方は多いはずです。

ここからは、結果を「核の傾向」と「その時々の揺れ」の二つに分けて見ていきます。この二層の見方は、自分の結果を眺めるときにも、ほかの誰かの結果を聞くときにも使えます。

距離を取りたい時期だったから回避が出た。そう感じるのも無理はありません。短い期間でも、出るタイプが変わる人は一定数います。不安が高めだと揺れやすい、という見方もあります。ですから「いつ受けたか」で結果が動くというのは、気のせいではなく本当に起きることです。ただ、そこで全部が気分次第かというと、そうでもありません。その日の体調や直前の出来事による揺らぎ、いわば測定上のノイズを取り除いていくと、土台の傾向自体はけっこう安定している、という見方もあります。見かけはその日の状態でわりと動くけれど、核の部分は変わりにくい傾向があります。だから二層で見るのがちょうどいい。一つは「核の傾向」、もう一つは「その時々の揺れ」。今回回避と出たのは、核のほうに回避寄りの土台があるのか、それとも今ちょうど距離を取りたい時期で揺れのほうが大きく出たのか、その両方が混ざっています。別のタイミングで受け直して違う結果が出ても、それは矛盾ではなく、揺れの層が見えただけです。一回で確定させずに、変わらず残るものと、そのとき限りで出たものを分けて眺めると、自分の本当のクセが見えてきます。とはいえ受け直すとしても一度で十分で、毎回受けて確かめ続ける必要はありません。むしろ結果が動くこと自体が「核は安定・表層は揺れる」の確認なので、動いたら答え合わせは終わりです。

この「揺れるけれど芯はある」という二層の見方は、数字のほうでも裏打ちがあります。短い期間(1週間〜数ヶ月)で約30%の人は分類が変わり、いちばん変わりやすいのは不安が強めのタイプです (参考: 2, 3)。変化率は対象や測り方によって幅があり、ある研究では2年で46%が変わったという報告もあります (参考: 2, 3)。面白いのは、ある研究がこの不安定さについて「測定の誤差というより、その人がその瞬間に活性化している関係の記憶や期待を映しているだけ」と捉えていることです (参考: 2, 3)。つまり結果が動くのは、精度が低いからというより、今そう出ている面が大きい、という解釈です。一方で、乳児期から19年ほど追跡した分析では、愛着の安心感は中程度に安定していて、一時的な変動の下に安定した土台を置くモデルが一番よく合う、とされています (参考: 4)。異なる測り方の知見を束ねた見方ですが、「核は中程度に安定、表層はその時々で揺れる」という二層の持ち方は、研究の像とも整合します。なお、その安定した土台が生まれつきのものなのか、後から育っていくのかは、それ自体が一つの大きなテーマです。

4タイプで分けず回避と不安の度合いで見る

結果が動く理由は、時期による揺れだけではありません。もう一つ、そもそもの「分け方」のほうにも理由があります。このクイズは、いくつかの質問の答えから「あなたは4タイプのうちこれ」と振り分けてくる。けれども人は本当はもっと連続的で、回避の度合いや不安の度合いがそれぞれグラデーションになっているのを、4つの区分のどれかに丸めているだけ、という面があります。だとすると、結果の「タイプ名」と、実際の自分との間にあるズレは、どう読めばよいのでしょうか。

愛着は、二つの度合いで見るとわかりやすくなります。一つは「近づかれることがどれくらい居心地悪いか」、つまり回避の度合い。もう一つは「見捨てられるんじゃないかという不安がどれくらい強いか」です。この二つを縦軸・横軸にとると、誰もがその平面のどこかに点として乗ることになります。4タイプというのは、その平面を縦横で四つの区分に区切って名前をつけただけのものです。だから同じ「回避型」でも、ギリギリ境界線をまたいだ回避と、振り切って端のほうにいる回避とでは、出方が大きく違います。タイプ名はおおまかな区分までしか言っておらず、本当のところは度合いまで見ないとわかりません。もう少し正確に自分の傾向をつかみたいときは、この度合いの感覚が手がかりになります。そう考えると、結果にズレを感じるのは、おそらく自分が境界の近くにいるサインです。境界近くの人ほど、その日の状態でちょっと押されると隣のタイプに振れやすい。だから、診断を受けるたびに結果が動くのです。タイプ名で自分を一語に丸めるよりも、「自分は回避の度合いがこのくらい、不安の度合いがこのくらい」と二つの度合いで持っておくと、区分が変わっても自分は同じ場所にいる、という感覚で見られるようになります。

この「本当は連続したグラデーション」という捉え方は、愛着を測る研究でも繰り返し確かめられています。ある研究では、二つの標本それぞれのデータを調べた結果、人それぞれの違いは、タイプ分け(カテゴリーモデル)よりも度合い(次元モデル)で捉えたほうが一貫していた、と報告されています (参考: 5)。3タイプモデルも4タイプモデルも、結局は「自己イメージ」「他者イメージ」という二つの軸が作る平面の上に置き直せる、という整理もあります。呼び名は違っても、さきほどの回避と不安の平面と地続きの話です。こうした診断やテストの信頼性をどう見分けるかという視点を持っておくと、結果との距離の取り方も落ち着きます。

夕暮れの窓辺に立ち、地平線のアンバーから上空のネイビーへ滑らかに移る空を眺める女性。4タイプの境目ではなく回避と不安の濃淡として愛着を捉える視点を、連続したグラデーションで重ねている。

結果を初期マップとして関係のなかで使う

回避と不安、二つの度合いで自分の位置がだいたい見えてきた。では、それを実際どう使えばいいのでしょうか。診断結果が出て、なるほどとは思っても、では次にどうするかと考えると、意外と手が止まる。自分が回避寄りだとわかったところで、その後どう活かすのか。とくに相手がいる関係の中で、これはどう使えるのか、迷うことはないでしょうか。

位置がわかったあとは、たしかに手が止まりがちです。おすすめは、結果を「確定ラベル」ではなく「初期マップ」、つまり最初の仮説として持つことです。自分は回避寄りらしい、不安はこのくらいらしい。それはゴールではなく、これから関係の中で確かめていく出発点の地図です。仮説ですから、実際の場面で観察して、合っているか・どこがズレているかを見ながら、解像度を上げていきます。しかも愛着は、相手ごとに違う顔を見せます。タイプの組み合わせや相性しだいで、同じ自分でも出方が変わるのです。とくに回避の度合いは、相手によって変わりやすいようです。ですから「自分は回避型だから」と一般化するより、「この相手の前で、どの場面で距離を取りたくなるか」を具体的に見るほうが、ずっと当たります。関係の満足度をよく言い当てるのは、平均としての自分よりも「この関係での自分」のようです。今日からできる一手は、たとえば相手のメッセージに既読がついたあと、ふっと不安になったり距離を取りたくなったりしたら、その瞬間を一度だけメモしてみることです。回避寄りなら距離を取りたくなった瞬間、不安寄りなら相手の反応をすぐ確かめたくなった瞬間、と自分の出やすいほうに合わせて一つ選べば十分です。たった一回でかまいません。「今これが起きている、自分はこういう場面でこう出やすい」と名前をつけられると、その反応に流されずに、一歩引いて見られるようになります。逆に、メモを取ってみて、どうも自分はこの型に当てはまらない、と感じたら、そのマップは脇に置いてかまいません。仮説なので、合わなければ書き換えるものです。大事なのは、結果を相手を責める材料にしないことです。「あなたが不安型だからこうなる」と使い始めると、自分を知るための道具が、相手を責める道具になってしまいます。相手のタイプも同じで、いまこの関係で手前に出ているクセであって、固定の人格ではありません。相手に診断を受けさせて「不安型」の一語で片づけるのは、自分自身にそれをしないと決めたのと同じ理由で、やめておきます。自分の出方を知るための道具として、小さな観察から始めます。

「平均としての自分より、この関係での自分のほうがよく当たる」というのは、限られた比較研究ですが、関係を限って測ったほうがよく予測する、という報告があります (参考: 6, 7)。具体的には、愛着を測るある尺度は、ロマンティックな相手とのやり取りについて日記法で測った愛着的な感情の個人差を、30〜40%ほど説明する一方、家族や友人とのやり取りでは5〜15%ほどしか説明しなかった、という結果もあります (参考: 6, 7)。つまり「誰の前か」で見えるものが変わるということです。

クイズで分かることと専門家に任せること

ここまで見てきた診断結果は、確定したラベルではなく、これから確かめていくための初期マップでした。ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。こういうクイズは、医療や臨床の正式な診断とは別物です。あくまで自己理解の入口です。たとえば、つらい記憶がいまの関係でくり返しよみがえって苦しいとか、自分ではどうにも抜けられないしんどさがあるとき。そういうときは、クイズの結果をどう読むかという話とは別に、専門家に相談するルートがあります。心療内科や精神科、カウンセラー、自治体の相談窓口など、頼れる先はいくつもあります。とくに、自分を傷つけたくなる・消えてしまいたいといった気持ちが出てきたときは、生活に支障が出るのを待つ必要はありません。すぐに専門の窓口や緊急の相談先に頼ってかまいません。では、クイズで分かることと、分からない・任せたほうがいいことの境目は、どう考えておけばいいのでしょうか。

クイズで触れられるのは、「自分がどう出やすいか」までです。日常の場面で自分の反応を観察して、名前をつけて、少し引いて見る。そこまでは道具として十分使えますし、自助の範囲でやれることです。クイズはその入口の地図をくれるもので、当たる・外れるより「仮説をくれる」ところに価値があります。ただ、地図が扱える話と、地図の外の話は、分けて考えたほうがいいです。たとえば、過去のつらい経験がいまの関係に強く割り込んできて自分を支配してくるとか、しんどさが生活そのものに食い込んでいて自分の力では抜け出せないとか。そういうときは、もう「自分は回避型か不安型か」というタイプ分けの軸とは別の話になります。タイプ名をいくら細かく見ても、そこは解けません。だから線引きはこう考えられます。日常の場面で観察して名前をつけられる範囲は、自助でかまいません。でも、その反応が自分の意思とは関係なく繰り返し襲ってくるとか、生活が回らないくらい苦しいとなったら、それはタイプの問題ではなく、専門家に任せる領域です。クイズの結果を握りしめて、自分一人で解決しようとしないこと。タイプ名で全部に説明をつけようとすると、本当はケアが必要なものまで「自分はこういうタイプだから」で済ませてしまいます。そこだけは、結果の読み方とは別に、はっきり線を引いておきたいところです。

最初に「回避型」と出て、自分はこういう人間だと決めつけられたように感じ、それがずっと引っかかる。そういうことがあるかもしれません。でも、あれは決まったタイプではなく、距離が近づく場面でいまいちばん出やすいクセを、たまたま回避という名前で拾っただけです。そう受け取れると、肩の力が抜けます。とくに、回避と不安それぞれの度合いで自分を捉えておくと、タイプ分けの線引きが変わっても、自分の立つ位置そのものは動きません。タイプ名ひとつで自分を決めつけなくていいのだと思えると、結果も素直に受け取れるようになります。確定ではなく、これから確かめていく最初の地図。そのくらいの距離で持っておけば、いいのです。

参考文献

  1. Mark W. Baldwin, J. Patrick R. Keelan, Beverley Fehr, Vicki Enns, Evelyn Koh-Rangarajoo(1996) Social-cognitive conceptualization of attachment working models: Availability and accessibility effects. Journal of Personality and Social Psychology. https://doi.org/10.1037/0022-3514.71.1.94
  2. Mark W. Baldwin, Beverley Fehr(1995) On the instability of attachment style ratings. Personal Relationships. https://doi.org/10.1111/j.1475-6811.1995.tb00090.x
  3. Catherine Cozzarelli, Joseph A. Karafa, Nancy L. Collins, Michael J. Tagler(2003) Stability and change in adult attachment styles: associations with personal vulnerabilities, life events. and global construals of self and others. Journal of Social and Clinical Psychology. https://doi.org/10.1521/jscp.22.3.315.22888
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  1. R. Chris Fraley(2002) Attachment Stability From Infancy to Adulthood: Meta-Analysis and Dynamic Modeling of Developmental Mechanisms. Personality and Social Psychology Review. https://doi.org/10.1207/s15327957pspr0602_03
  2. R. Chris Fraley, Nathan W. Hudson, Marie E. Heffernan, Noam Segal(2015) Are adult attachment styles categorical or dimensional? A taxometric analysis of general and relationship-specific attachment orientations. Journal of Personality and Social Psychology. https://doi.org/10.1037/pspp0000027
  3. R. Chris Fraley, Marie E. Heffernan, Amanda M. Vicary, Claudia Chloe Brumbaugh(2011) The experiences in close relationships—Relationship Structures Questionnaire: A method for assessing attachment orientations across relationships. Psychological Assessment. https://doi.org/10.1037/a0022898
  4. Chris G. Sibley, Ronald Fischer, James H. Liu(2005) Reliability and Validity of the Revised Experiences in Close Relationships (ECR-R) Self-Report Measure of Adult Romantic Attachment. Personality and Social Psychology Bulletin. https://doi.org/10.1177/0146167205276865